材料合成のいろは(第1回)

MMブログ

(株)マテリアルマジックのBlogに訪問戴き有難うございます。当ブログでは弊社の新製品の開発状況などの情報の他に材料合成の初心者に向けた情報を発信していく予定です。材料合成のいろはと題しまして記念すべき第1回目は”材料研究と料理は似ている?”と言うテーマでお話しさせていただきます。

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材料研究と料理は似ている?

材料研究と料理は似ているのかと言うテーマを選んだのは今から20年以上前に初めて就職した企業で材料の研究開発を行う部署に配属されてからしばらくした頃に主任技師のOさんから『料理は得意か?』と聞かれた事に遡ります。その時に材料研究の分野で成果を出す奴は大体料理が得意なんだと言う経験則があると教えてもらいました。この時は単純に食材を秤量する→混ぜて加熱調理という流れが、材料研究での原料の秤量→混合→電気炉で焼成という流れと同じという事かなと思っていたのですがもう少し深い意味で類似点があると思います。

そもそも料理上手な人はわざわざ秤量しないで目分量で料理を作ることが多いと思います。では料理上手な人と材料研究の得意な人の共通点はどこにあるのでしょうか?

料理も材料研究もどちらも突き詰めると広義の科学です、それゆえ類似点は多岐に渡りますが今日は混合について考えてみようと思います。

材料研究において混合とは基本操作であるとともに非常に重要な意味を持ちます。何のために混合を行うかというと最終的に合成しようとする化合物の原子位置に近い位置まで各構成元素を近づける為です。理想的には原子レベルで完全に混合しているのが良いのですが多くの場合無理なので、混合後に焼成を行います。焼成を行うことで元素の拡散が起こり目的の化合物が合成される事になります。

話が大分脱線してしまいましたが、乳鉢で混合する時のコツは蕎麦打ちの水回しと同じです、蕎麦は蕎麦粉と水を均一に混ぜ合わせなくてはいけません、これができないと蕎麦がブツブツと切れてしまって短い蕎麦になってしまいます。水回しのコツは粉を大きく動かして粉が動かない場所を作らない事がコツになります。これは言葉では伝えにくいので蕎麦打ち教室に行くのが良いでしょう。乳鉢での混合も同じです乳棒を動かすと粉が乳鉢の曲面に沿って乳鉢の上に這い上がって来るのでのの字の逆の動かし方で這い上がってきた粉を乳鉢の真ん中に戻す様に乳棒を動かします。乳鉢混合が下手な人は乳鉢の中で粉の滞留ポイントができている事が多いです、粉の滞留している場所があるということはその場所にある粉がいつまでたっても混合されない事を意味します。弊社では出張デモンストレーションも承っておりますのでご用命頂ければ乳鉢混合以外にも材料合成のコツをお見せする事ができます。

Tips:乳鉢での混合がうまくできない人は一度分かりやすい粉で混合の練習をして見るのが良いと思います。酸化物原料の場合薄い色または白色の粉の場合が多いので混ぜても均一に混ざってるかどうかが分かりにくい場合が多いです。そこで例えば炭酸バリウム(BaCO3、白色)と酸化銅(CuO、黒色)を乳鉢で混ぜて均一な灰色になったかどうかを試して見ると良いです。均一な色になるのに思った以上の時間がかかると思います。

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